コカウエスト「四国」買収 人口減への危機感 背景 収益強化策が課題

 コカ・コーラウエスト(CCW、福岡市)は、四国コカ・コーラボトリング(高松市)を完全子会社化することで、名実共に西日本地区全域をカバーする国内最大規模の飲料メーカーとなる。コカウエストが核となって西日本地区で繰り返されてきたコカ・コーラ各社の再編劇。その背景にあるのは、人口減、少子高齢化への強い危機感だ。 

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・コカ・コーラウエスト
 1960年発足の日米飲料(福岡市)が起源。99年、北九州コカ・コーラボトリングと山陽コカ・コーラボトリングが合併してコカ・コーラウエストジャパン。2009年1月、当時のコカ・コーラウエストホールディングスが事業会社3社を吸収合併し、現社名に。営業地域は関西以西の2府16県。14年12月期の連結売上高は約4244億円。連結従業員数は8324人(14年12月末現在)。
(2015年4月4日掲載)

 "再編劇の幕開けは1999年、コカ・ウエストの前身である北九州コカ・コーラボトリングによる山陽コカ・コーラボトリングの合併だった。米アトランタにあるコカ・コーラ本社が主導する世界的なグループ再編の方針を受けて始まった再編はその後、南九州コカ・コーラボトリングなど西日本一帯に波及した。相次ぐ再編を後押ししたのが、食品業界を取り巻く経営環境の厳しさだ。

 人口減による国内市場の縮小という基調に加え、最近では消費税増税による物価上昇など事業環境は厳しさを増している。郊外型の大型量販店が増えたことで、価格競争にも一層拍車が掛かった。業界を取り巻く厳しさを直視し、日本製紙は「本業に経営資源を集中させたい」(広報担当者)として、四国コカを手放す決断を下した。

 四国コカを手中に収めることで「西日本のコカ・コーラビジネスでリーダーになる」との悲願を実現するコカウエストだが、課題は尽きない。再編による規模拡大にもかかわらず、コカウエストの営業利益は2011年度の164億円を直近のピークに、14年度の110億円まで減少基調にある。規模拡大のスケールメリットをいかに収益強化につなげていくのか、その道筋が明確になっているとは言いがたい。

 再編を仕掛け、業容を拡大したコカウエストの九州経済における存在感は、着実に高まってきた。いまでは九州電力など“名門”に肩を並べる存在となり、コカウエストの末吉紀雄会長は福岡商工会議所の会頭なども兼務している。

 厳しい地方経済をいかにリードしていくのか-。コカウエストの次の一手に、地元経済界からも注目が集まっている。"