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カテゴリ: 医療・ヘルスケア

阪大など、統合失調症患者の脳で左右の体積がアンバランスな部位を発見

大阪大学(阪大)と東京大学(東大)は1月19日、統合失調症では淡蒼球という脳領域の体積に左右差があることを発見したと発表した。

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"同成果は阪大大学院連合小児発達学研究科の橋本亮太 准教授、東大大学院医学系研究科精神医学分野の岡田直大氏、笠井清登 教授らの研究グループによるもの。1月19日の精神医学雑誌「Molecular Psychiatry」の電子版に掲載された。
淡蒼球は大脳皮質下領域にある大脳基底核の1つで、運動機能や、動機付け、意欲、欲求が満たされる感覚に関与するとされる。統合失調症患者では健常者に比べて体積が大きいことが知られていた。
今回の研究は認知ゲノム共同研究機構(COCORO)に参加する11の研究機関から収集した1680名の健常者と884名の統合失調症患者のMRI脳構造画像を比較解析し、統合失調症における大脳皮質下領域構造の体積やその左右差の変化を調べた。その結果、健常者では視床、側脳室、尾状核、被殻では左側優位、海馬、扁桃体で右側優位であり、淡蒼球、側坐核では非対称性が認められなかった。この傾向は統合失調症患者でもほぼ同様だったが、淡蒼球体積は右側に比べて左側が大きいことがわかった。
この結果は、統合失調症における脳内の神経回路の左右差の異常を示唆するものであると考えられており、病態解明の一助となることが期待される。"


恐怖:経験よりも本能的に怖い方が強い マウス実験


 本能的な恐怖と経験による恐怖、同時に2種類の恐怖に直面したらどうなるか、関西医科大の研究グループがマウスで実験したところ、本能的な恐怖が勝るとの結論が出た。19日付の米科学誌セルで発表する。恐怖は、うつや心的外傷後ストレス障害(PTSD)など精神疾患の発症や症状にも影響すると考えられ、これらのメカニズム解明につながると期待される。

 "研究グループの関西医大付属生命医学研究所の小早川高(こう)研究員によると、マウスは肉食動物の臭いに本能的な恐怖を感じ、危険を避ける。グループは、キツネから分泌される臭い物質とよく似た化学構造で、マウスが約10倍の大きさの恐怖を感じる物質を見つけた。

 一方、マウス9匹にスパイスの臭いを嗅がせた後に電気ショックを与える経験を繰り返し、スパイスに対する後天的な恐怖を植え付けた。恐怖の大きさは、マウスの体が硬直する時間で判断した。

 グループは、二つに分かれた通路の両端に餌を置き、一方にキツネの臭いに似た物質、もう一方にスパイスを添えた。絶食させたマウスを通路に放つと、9匹中6匹がスパイスの側に向かい、3匹はスタート地点で動かなかった。本能的恐怖が優先し、キツネに似た臭いを避ける結果となった。

 グループは、本能的恐怖を優先する仕組みは、脳の扁桃体(へんとうたい)中心核という部分の神経細胞が担うことも突き止めた。この神経細胞に作用する統合失調症治療薬をマウスに投与すると、後天的恐怖は半減したが、本能的恐怖は2〜3割強くなったという。小早川研究員は「恐怖を緩和する薬が、意図に反して本能的な恐怖を強める可能性がある」と話している。【吉田卓矢】"

ディープラーニングが放射線科医のミスをカヴァーするようになる

オーストラリアで放射線科のクリニックを展開するCapitol Health社は、Enlitic社と提携して、人工知能(AI)を使ったX線画像診断を始める。ソフトウェアで画像をチェックし、優先度や担当医を決定するとのこと。

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"サンフランシスコを本拠とするEnlitic社を創設したジェレミー・ハワード最高経営責任者(CEO)は、人工知能(AI)の一種であるディープ・ラーニングを、もう少し実用的なこと、つまり病気の診断に使いたいと考えている。

Enlitic社は10月27日(米国時間)、オーストラリアで放射線科のクリニックを展開するCapitol Health社との提携を発表した。同社のクリニックで、Enlitic社のソフトウェアを使ったX線画像診断を開始するというものだ。

とはいえ、放射線科の専門医が不要になるわけではない。ソフトウェア導入の目的は、作業の迅速化と、ミスの減少だ。まず、放射線技師から提出を受けた画像の対象が正しいかどうかをソフトウェアでチェックする。例えば、左ひざとタグ付けされた画像が、実際は右ひざの画像であったりしないかどうかだ。次は、画像に異常がないかをソフトウェアで調べる。

異常が検出された場合、画像の優先度を高め、内容に応じて担当医を決定する。例えば、肺の画像に結節を発見したら、優先度を高めた上で、肺専門の放射線医に転送する。動脈瘤のようなものが見つかれば、心血管を専門とする放射線医に画像が送られる。

異常が見つからなかった場合、優先度は低く設定される。担当の放射線医が画像を確認した後は、ソフトウェアが定型文を自動生成し、事務処理を手伝ってくれる。

医療現場に人工知能が使われる例は最近増えてきている。ニューヨークにある「メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター」では、IBMの「ワトソン」を研究に利用しており、最近は食事と運動のアドヴァイスもワトソンが担当している。医師による日々の診療を迅速化するための手助けを行う「Bright.md」というアプリケーションもある。しかし、ディープ・ラーニングが医師の診断を助ける能力を現場でテストするという意味では、Enlitic社とCapitol Health社の取り組みは過去最大級の規模になりそうだ。

Capitol Health社はアジアへの進出を開始しており、ハワードCEOは自社のソフトウェアによって医療診断の機会が拡大することを期待している。同CEOが紹介した世界経済フォーラムの報告書によれば、発展途上国では医療従事者の不足が深刻になると予測されており、訓練プログラムの導入を加速する必要があるという。

人工知能は、医療分野以外のさまざまな領域で使われてきており、一般の人が知らずに接する機会も増えてきている。フェイスブックは最近、ディープ・ラーニングを利用して、写真に説明文を付け始めた。目の見えない人でも情景を思い浮かべることができるようにだ。口コミサイト「Yelp」も、レストランのリストに最適な写真を表示するため、どのようにディープ・ラーニングを活用しているかを明らかにした。"


新型インフル薬:備蓄減了承 最大2500万人分引き下げ 厚労省部会


 新型インフルエンザの世界的大流行(パンデミック)に備えた抗ウイルス薬の備蓄方針を検討してきた厚生科学審議会感染症部会は18日、現行は国民の45%相当(5700万人分)としている目標量を最大2500万人分削減する方針を了承した。備蓄目標は政府計画で決めており、内閣官房の有識者会議の論議を経て正式決定する。目標の引き下げが決まれば、2005年の制度開始後初めてとのこと。

 "来年度以降、薬の有効期限が切れて大量に廃棄されるため、対応を検討していた。

 現在の目標は、人口の25%が感染し、患者の治療や予防投与が必要になったうえ、季節性インフルエンザも同時に流行して全患者に薬を投与するなどの被害想定に基づく。

 同部会は、同時流行の発生規模や治療対象とする患者数には幅があると判断。備蓄目標量は、最も少ない場合は現在より約2500万人減の3155万人、最大でも5570万人と、現在の目標より引き下げる方針を了承した。

 また、タミフルとリレンザに限定している備蓄薬に、小児用のタミフルドライシロップ、ラピアクタ、イナビルの3品目を追加することを決めた。

 備蓄は鳥インフルエンザによる人の死亡例が海外で報告されたことを受けて始まった。厚生労働省によると、薬の有効期限は10年で、来年度中に国と地方で計1152万人分が廃棄され、目標の45%を下回る。これまで総額約1560億円が投入された。【千葉紀和】"


「ドローンで命を救う」Project Hecatoncheirがスタート 2年以内の実用化目指す


「Project Hecatoncheir」(以下ヘカトンケイル)は、医療、ドローン開発、クラウド技術、行政などの専門家による、より高度な災害・救急用ドローン×IT×クラウドを活用した自動無人航空支援システムの研究開発を行うプロジェクト。「救急の日」である9月9日、都内で記者発表会が開催された。

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"プロジェクト名のHecatoncheir(ヘカトンケイル)とはギリシャ神話に登場する「百腕の巨人」。50の頭と100本の腕を持つ巨人は、最終的にプロジェクトが目指す「人命を救う、人とモノを統合したひとつの大きなロボット」をイメージしている。

プロジェクトリーダーの小澤貴裕氏(国際医療福祉専門学校 ドローン有効活用研究所 主席研究員)は、救急救命士としての活動の経験から、救命のための課題として「時間の短縮」を挙げる。

心停止からの社会復帰のための要件として「救命の連鎖(Chain of Survival)」という概念があるが、「現在の日本では「素早い通報」と「素早い心肺蘇生」が難しく、チェーンが切れてしまっている」と小澤氏。日本で通報から救急隊員の現地到着まで平均約8分半かかっている。早いように思えるが、心停止から8分半後の蘇生措置で、社会復帰できる可能性はわずか15%しかないのだ。

チェーンを繋ぐために、2番めの「素早い通報」を実現するためのアイデアが、センサーと位置情報を使用した自動通報だ。ウェアラブルデバイスによる心拍数計測やスマートフォンの加速度センサーにより、事故や心停止が発生したことを検知した時に119番に自動通報を行う。アラーム等で近隣に知らせることも可能だ。2016年度には全てのキャリアで119番通報には位置情報が付与されることになるので、即座に位置を把握できる。

位置情報がわかればドローンを飛ばしていち早く必要な医療機器を現地に運ぶことが可能だ。心停止時の蘇生に有効なAED(自動体外式除細動機)の配備は進められているが、適切な管理がされていなかったり、設置場所が夜間は立ち入れない公共機関だったり、適切に管理されておらずバッテリーが切れていることがあったりと、必ずしも使える状況ではない。通報位置にドローンでAEDを運び、同時にタブレットで医師が遠隔地から現地の人に助言をすることで、救急隊が到着するまでの間にも蘇生措置を行うことが可能になり、社会復帰の可能性は飛躍的に高まる。"

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