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カテゴリ: IT・テクノロジー

ディープラーニングが放射線科医のミスをカヴァーするようになる

オーストラリアで放射線科のクリニックを展開するCapitol Health社は、Enlitic社と提携して、人工知能(AI)を使ったX線画像診断を始める。ソフトウェアで画像をチェックし、優先度や担当医を決定するとのこと。

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"サンフランシスコを本拠とするEnlitic社を創設したジェレミー・ハワード最高経営責任者(CEO)は、人工知能(AI)の一種であるディープ・ラーニングを、もう少し実用的なこと、つまり病気の診断に使いたいと考えている。

Enlitic社は10月27日(米国時間)、オーストラリアで放射線科のクリニックを展開するCapitol Health社との提携を発表した。同社のクリニックで、Enlitic社のソフトウェアを使ったX線画像診断を開始するというものだ。

とはいえ、放射線科の専門医が不要になるわけではない。ソフトウェア導入の目的は、作業の迅速化と、ミスの減少だ。まず、放射線技師から提出を受けた画像の対象が正しいかどうかをソフトウェアでチェックする。例えば、左ひざとタグ付けされた画像が、実際は右ひざの画像であったりしないかどうかだ。次は、画像に異常がないかをソフトウェアで調べる。

異常が検出された場合、画像の優先度を高め、内容に応じて担当医を決定する。例えば、肺の画像に結節を発見したら、優先度を高めた上で、肺専門の放射線医に転送する。動脈瘤のようなものが見つかれば、心血管を専門とする放射線医に画像が送られる。

異常が見つからなかった場合、優先度は低く設定される。担当の放射線医が画像を確認した後は、ソフトウェアが定型文を自動生成し、事務処理を手伝ってくれる。

医療現場に人工知能が使われる例は最近増えてきている。ニューヨークにある「メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター」では、IBMの「ワトソン」を研究に利用しており、最近は食事と運動のアドヴァイスもワトソンが担当している。医師による日々の診療を迅速化するための手助けを行う「Bright.md」というアプリケーションもある。しかし、ディープ・ラーニングが医師の診断を助ける能力を現場でテストするという意味では、Enlitic社とCapitol Health社の取り組みは過去最大級の規模になりそうだ。

Capitol Health社はアジアへの進出を開始しており、ハワードCEOは自社のソフトウェアによって医療診断の機会が拡大することを期待している。同CEOが紹介した世界経済フォーラムの報告書によれば、発展途上国では医療従事者の不足が深刻になると予測されており、訓練プログラムの導入を加速する必要があるという。

人工知能は、医療分野以外のさまざまな領域で使われてきており、一般の人が知らずに接する機会も増えてきている。フェイスブックは最近、ディープ・ラーニングを利用して、写真に説明文を付け始めた。目の見えない人でも情景を思い浮かべることができるようにだ。口コミサイト「Yelp」も、レストランのリストに最適な写真を表示するため、どのようにディープ・ラーニングを活用しているかを明らかにした。"

アプリのLINE(東京・渋谷)と米インテルは2日、あらゆるものをネットにつなぐインターネット・オブ・シングス(IoT)事業で連携すると発表した。消費者が対話アプリで電子看板や情報家電からメッセージを受け取れるシステムを共同開発する。まずキリンビバレッジ子会社の自動販売機に導入する。様々なモノを介して企業が消費者に情報を送れる新たなプラットフォームが整うことで、広告や販売促進などへの活用が急速に広がりそうだ。

 国内で5800万人以上が登録するLINEは個人間の連絡に広く使われているが、企業が消費者に情報発信できる機能もある。この仕組みを利用して様々な機器から消費者に情報を送れるようにする。

 インテルが生産する小型で消費電力が少ないIoT専用のCPU(中央演算処理装置)を機器に組み込みネットに接続。消費者とスマートフォン(スマホ)で情報をやり取りする。インテルはまた、機器の設計やプログラミングでサービスの開発を支援する。


「ドローンで命を救う」Project Hecatoncheirがスタート 2年以内の実用化目指す


「Project Hecatoncheir」(以下ヘカトンケイル)は、医療、ドローン開発、クラウド技術、行政などの専門家による、より高度な災害・救急用ドローン×IT×クラウドを活用した自動無人航空支援システムの研究開発を行うプロジェクト。「救急の日」である9月9日、都内で記者発表会が開催された。

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"プロジェクト名のHecatoncheir(ヘカトンケイル)とはギリシャ神話に登場する「百腕の巨人」。50の頭と100本の腕を持つ巨人は、最終的にプロジェクトが目指す「人命を救う、人とモノを統合したひとつの大きなロボット」をイメージしている。

プロジェクトリーダーの小澤貴裕氏(国際医療福祉専門学校 ドローン有効活用研究所 主席研究員)は、救急救命士としての活動の経験から、救命のための課題として「時間の短縮」を挙げる。

心停止からの社会復帰のための要件として「救命の連鎖(Chain of Survival)」という概念があるが、「現在の日本では「素早い通報」と「素早い心肺蘇生」が難しく、チェーンが切れてしまっている」と小澤氏。日本で通報から救急隊員の現地到着まで平均約8分半かかっている。早いように思えるが、心停止から8分半後の蘇生措置で、社会復帰できる可能性はわずか15%しかないのだ。

チェーンを繋ぐために、2番めの「素早い通報」を実現するためのアイデアが、センサーと位置情報を使用した自動通報だ。ウェアラブルデバイスによる心拍数計測やスマートフォンの加速度センサーにより、事故や心停止が発生したことを検知した時に119番に自動通報を行う。アラーム等で近隣に知らせることも可能だ。2016年度には全てのキャリアで119番通報には位置情報が付与されることになるので、即座に位置を把握できる。

位置情報がわかればドローンを飛ばしていち早く必要な医療機器を現地に運ぶことが可能だ。心停止時の蘇生に有効なAED(自動体外式除細動機)の配備は進められているが、適切な管理がされていなかったり、設置場所が夜間は立ち入れない公共機関だったり、適切に管理されておらずバッテリーが切れていることがあったりと、必ずしも使える状況ではない。通報位置にドローンでAEDを運び、同時にタブレットで医師が遠隔地から現地の人に助言をすることで、救急隊が到着するまでの間にも蘇生措置を行うことが可能になり、社会復帰の可能性は飛躍的に高まる。"

映画「ターミネーター」のように、破壊されると瞬間的に自己修復する素材をNASAが開発

NASAのLangley研究センターが、劣悪な温度条件や宇宙のゴミとの衝突で破損したとき、数秒で自己修復する素材を研究開発している。

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"この研究は、ミシガン大学からNASAに出向しているある一人の学生の研究と、航空機や宇宙船用の自己修復素材に関する、これまでの15年近くにおよぶ研究成果を、結びつけている。

NASAの科学者たちによると、それは体の穿刺治癒*にとてもよく似ているが、それよりも速い。有機物に似せて設計されたポリマーが、素材を高速にヒットする宇宙ゴミなどのエネルギーイベントに反応する。するとその素材に、衝撃による化学反応が起こり、孔や裂け目を1秒未満で修復する。"

テストでは実際に銃弾を貫通させ、その後の反応を見た。ポリマーの分子が銃創周辺に流れ出て、素材の基本構造は維持された。

NTTデータ、スマートグラスを用いた遠隔作業支援システムを発表

NTTデータは8月31日、メガネ型コンピューターであるスマートグラスを用いた現場作業の支援システム(遠隔作業支援システム)を開発し、同社内のIT基盤での保守運用業務における利用を開始した。新システムは2015年度内に社外向けにも提供開始予定。同システムを含むウェアラブルデバイスを適用したシステムにより、2018年までに累計で50億円のビジネス創出を目指すとしのこと。

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"遠隔作業支援システムの画面イメージ
同システムでは、作業者はスマートグラスを着用して運用保守作業を行う。スマートグラスは、前面にカメラやマイク、眼前にディスプレイを搭載しており、画像や映像・音声を記録し、作業指示書やマニュアルといった作業に必要な情報を表示できるため、作業者は内容を確認しながら作業を行うことができるという。

また、画像や映像・音声は遠隔地にいる確認者とリアルタイムで共有でき、作業で生じた不明点をその場で質問することによって迅速な解決が可能としている。

確認者はPCのWebブラウザを用いて、作業の進捗状況や、作業者が記録した作業結果に関する画像や映像・音声を即座に確認でき、遠隔地にいながら現場の作業進捗状況や作業結果を確認できるという。また、現場からリアルタイムで共有した映像に対してコメントや目印(マーカー)を付与でき、的確な作業指示が可能だとしている。

同システムは、スマートグラスを直感的かつ確実に操作可能なユーザーインターフェース(UI)、利用シーンに応じたマルチデバイスでの利用、複数の作業者の作業状況を同時に確認できる確認者用画面といった特長を持つ。

UIに関しては、スマートグラスにはキーボードやマウスなどの入力機器が無いため、操作が複雑で時間がかかるという課題があったが、同システムでは、音声認識やジャイロ操作(頭の傾きと連動させてスマートグラスのマウスポインタを動かす操作)、ジェスチャー操作機能を搭載。その結果、ハンズフリーで直観的かつ確実なスマートグラスの操作が可能になったという。"

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