わずかに老けない…「火星の旅へ重要な一歩」自身の体を素材に、双子で比較研究
将来の火星有人飛行に備えた医学研究のため、米露の宇宙飛行士2人が28日、国際宇宙ステーション(ISS)で1年間の長期滞在を始めた。2人は来年3月まで、通常のISSでのミッションのほぼ2倍の期間に当たる342日間にわたってステーションに滞在。自身の身体を素材に幅広い医学データを集め、宇宙での長期生活に伴う心理的影響も調べる。また米飛行士の双子の兄も地上で研究に参加。兄弟の比較研究によって、より詳密な成果を導き出す計画だ。(SANKEI EXPRESS)"
「重要な一歩だ」
ISSでの長期滞在を始めたのは、米航空宇宙局(NASA)のスコット・ケリー飛行士(51)とロシア宇宙庁のミハイル・コルニエンコ飛行士(54)。2人は半年の滞在で地球に帰還するロシアのゲナディ・パダルカ飛行士(56)とともにソユーズ宇宙船に乗り込み、ソユーズは日本時間の28日午前4時42分、中央アジア・カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられた。ほぼ6時間後の午前10時33分、地球上空約400キロで1周約90分のペースで地球を周回しているISSにドッキング、3人はステーション内に乗り込んだ。
ドッキングの様子を地球からモニターで見届けたNASAのチャールズ・ボールデン長官(68)は「これは火星への旅に向けた重要な一歩だ」と意義を強調した。
NASAの宇宙飛行士はこれまで、7カ月以上ISSに滞在したことはなく、連続して1年間滞在するのは初めて。ロシアは旧ソ連時代を含む1986~2001年に運用した宇宙ステーション「ミール」で6人が10カ月以上の滞在を経験し、1994年から95年にかけてはバレリー・ポリヤコフ飛行士(72)が437日の滞在を記録している。
骨や視覚に異常
AP通信などによると、ケリー飛行士はソユーズに搭乗前、「今回の長期滞在ミッションは国際協力の下で行われることに深い意義がある。なぜなら、来るべき火星有人飛行は、1国単独のプロジェクトではなく、必ずや国際的協力体制を組んで実施されるからだ」と力説。コルニエンコ飛行士は「20年前と今では、技術も進歩し、環境も変わっている。よりよい実験成果を上げられるよう全力を尽くす」と語った。
微小重力状態のISSでは、半年の滞在でも不眠症状になる飛行士がいるほか、骨密度が低下したりする。さらに地球にいる時と比べて人体内の各種体液がより多く頭部に流れるため、頭蓋内の圧力が高まって視神経を圧迫。これまでに視覚異常を起こした飛行士も多い。
NASAは、2030年代に構想している火星有人飛行の期間は1年半~2年半に及ぶとみており、ロシア宇宙庁と今回のデータを共有し、こうした微小重力に伴うさまざまな症状を軽減する方策を探る方針だ。
わずかに老けない
ケリー飛行士の一卵性双生児の兄で元宇宙飛行士のマークさん(51)も研究に参加。研究チームは微小重力環境が体に及ぼす影響を遺伝子レベルで分析する。また、相対性理論に基づけば、高速飛行を1年間続けるケリー飛行士の年の取り方(老け方)は地上にいるマークさんよりも遅い。試算によればその差は1000分の1秒程度だが、一卵性双生児同士ならこの微差も認識できるため、相対性理論も実証するという。
5月には日本人飛行士の油井亀美也さん(45)も合流し、11月まで2人とISSで一緒に活動する予定。また、2人は9月には、民間の宇宙旅行でISSを訪れる英歌手、サラ・ブライトマンさん(54)も迎える。"
将来の火星有人飛行に備えた医学研究のため、米露の宇宙飛行士2人が28日、国際宇宙ステーション(ISS)で1年間の長期滞在を始めた。2人は来年3月まで、通常のISSでのミッションのほぼ2倍の期間に当たる342日間にわたってステーションに滞在。自身の身体を素材に幅広い医学データを集め、宇宙での長期生活に伴う心理的影響も調べる。また米飛行士の双子の兄も地上で研究に参加。兄弟の比較研究によって、より詳密な成果を導き出す計画だ。(SANKEI EXPRESS)"
「重要な一歩だ」
ISSでの長期滞在を始めたのは、米航空宇宙局(NASA)のスコット・ケリー飛行士(51)とロシア宇宙庁のミハイル・コルニエンコ飛行士(54)。2人は半年の滞在で地球に帰還するロシアのゲナディ・パダルカ飛行士(56)とともにソユーズ宇宙船に乗り込み、ソユーズは日本時間の28日午前4時42分、中央アジア・カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられた。ほぼ6時間後の午前10時33分、地球上空約400キロで1周約90分のペースで地球を周回しているISSにドッキング、3人はステーション内に乗り込んだ。
ドッキングの様子を地球からモニターで見届けたNASAのチャールズ・ボールデン長官(68)は「これは火星への旅に向けた重要な一歩だ」と意義を強調した。
NASAの宇宙飛行士はこれまで、7カ月以上ISSに滞在したことはなく、連続して1年間滞在するのは初めて。ロシアは旧ソ連時代を含む1986~2001年に運用した宇宙ステーション「ミール」で6人が10カ月以上の滞在を経験し、1994年から95年にかけてはバレリー・ポリヤコフ飛行士(72)が437日の滞在を記録している。
骨や視覚に異常
AP通信などによると、ケリー飛行士はソユーズに搭乗前、「今回の長期滞在ミッションは国際協力の下で行われることに深い意義がある。なぜなら、来るべき火星有人飛行は、1国単独のプロジェクトではなく、必ずや国際的協力体制を組んで実施されるからだ」と力説。コルニエンコ飛行士は「20年前と今では、技術も進歩し、環境も変わっている。よりよい実験成果を上げられるよう全力を尽くす」と語った。
微小重力状態のISSでは、半年の滞在でも不眠症状になる飛行士がいるほか、骨密度が低下したりする。さらに地球にいる時と比べて人体内の各種体液がより多く頭部に流れるため、頭蓋内の圧力が高まって視神経を圧迫。これまでに視覚異常を起こした飛行士も多い。
NASAは、2030年代に構想している火星有人飛行の期間は1年半~2年半に及ぶとみており、ロシア宇宙庁と今回のデータを共有し、こうした微小重力に伴うさまざまな症状を軽減する方策を探る方針だ。
わずかに老けない
ケリー飛行士の一卵性双生児の兄で元宇宙飛行士のマークさん(51)も研究に参加。研究チームは微小重力環境が体に及ぼす影響を遺伝子レベルで分析する。また、相対性理論に基づけば、高速飛行を1年間続けるケリー飛行士の年の取り方(老け方)は地上にいるマークさんよりも遅い。試算によればその差は1000分の1秒程度だが、一卵性双生児同士ならこの微差も認識できるため、相対性理論も実証するという。
5月には日本人飛行士の油井亀美也さん(45)も合流し、11月まで2人とISSで一緒に活動する予定。また、2人は9月には、民間の宇宙旅行でISSを訪れる英歌手、サラ・ブライトマンさん(54)も迎える。"